物流工程の分解

ドローンが担えるのは、物流の全部ではない。準備の終わった地点から、受け取りの用意ができた地点までの、短く軽い空の切片である。幹線も仕分けも、飛行の外に残る。

一本の「配送」にしない

荷物は一回の移動ではなく、責任の列である。地域をまたぐ幹線は、船や鉄道や大型トラックがまとめ荷を運び、積むほど一個あたりの費用は下がりやすい。拠点の中では、入荷、検品、保管、摘み取り、出荷の準備をしている。一次配送は、そこから店や病棟や地域の小拠点へ下ろす工程で、ラストワンマイルは名指しの受取人か、決めた受取地点までの最後の引き渡しだ。その周りに、受注、在庫の引き当て、梱包、本人確認、返品、決済、告知がある。これを配送の一語にまとめると、棚と扉と署名の仕事まで機体に押しつけることになる。

切るべき場所は、手段が変わるところ、保管者が変わるところ、制約が変わるところだ。高速道路の区間と建物の階段は、乗り物が違うだけの同じ問題ではない。空の区間を縛るのは天候、空域、質量、着地できる面だ。建物の中を縛るのは間取りと当番と、鍵のかかった棚だ。時間の価値が高いのは、そのうちの一片だけ、ということがある。血液は速い空輸に見合うことがあっても、担当者を二十分探すだけで無駄になる。どの切片を道路から外してよいかを聞く前に、切片ごとに持ち主と時計を置く。

機体が入れる切片

機体が現実に担える切片は、短く、軽く、両端の準備が終わったものである。たいていラストワンマイルか、短い一次配送になる。拠点のパッドから病院の屋上、薬局の横から診療所のロッカー、道路や船が遅い島の診療所への補給、という形だ。何百キログラムを何時間も運ぶ幹線は、大型の手段に残る。浮かないでいるだけで出力を使うマルチコプタでは、その質量と時間には届かない。小型の固定翼でも、容積は幹線の代わりにならない。山間や離島で例外に見える便も、誰かが満たした巣からの出撃であって、巣を満たした幹線の代わりではない。

ラストワンマイルの中でも、機体が担うのは空の部分だけだから、拾うのも確かめるのも人が残る。正しい品か確かめ、質量と体積の上限に収めて梱包し、天候とパッドが受けられる枠に割り当てる。向こうでは、決めておいたやり方で受け取らねばならない。日本のレベル4は、有人地帯での補助者なし目視外飛行を、第一種の機体認証と一等の技能証明と許可・承認のある運航として定義している。倉庫の代わりとは書いていない。NASAの低高度の運航管理も、欧州のU-spaceも、その飛行の周囲を扱う。摘み取りも、梱包も、受領の署名もしない。

飛行の外で増える仕事

見た目が同じ仕事でも、中身は変わる。梱包は振動と、バンの床より雑になりやすい着地に耐えねばならず、包材自体が積載を食う。告知は、人を数分の窓で地点に立たせる仕事になる。機体が待っているあいだは、残しておきたかった予備を消費している。返品は扱いにくい。受取人が拒否したとき、機体がドアの前に残っているとは限らず、持ち帰りは、荷物を下ろして軽くなるはずだったエネルギーを、また使う。決済と本人確認は空では楽にならない。アプリや番号や、パッドにいる専門職へ移り、失敗したときの手順は初飛行の前に要る。

見極める基準は、置き換わったのか、足したのかだ。バンの経路が消えたなら、切片を置き換えたことになる。バンが残り、そのうえパッドの人員と専用梱包と、不在の手順を足したなら、切片を追加したことになる。どちらも合理的なことはある。時間価値が高く、道路が悪い品は、追加に値することがある。密度の高い地区の軽い小口は、たいてい値しない。道路の車は一度の停車を多くの戸口で割れるが、機体は一件ずつ訪れる。私は、切片の名前と、残る持ち主の名前を先に書けと言う。ロータが付いたからといって、残りの工程まで自動化されたと言うのはやめなさい。