公称の荷重と、使える荷重
カタログの積載は、新しい電池と無風と標準大気の話であることが多い。使える積載は、風と予備と劣化と気温を引いた残りである。片道の計算は、帰りを誰かが引き受けるときだけ成立する。
公称が置いている前提
公称の積載は、無風、新しい電池、海面付近の標準的な大気、決めた短いプロファイルで測られることが多い。予備を入れていないか、ごく薄く、箱や記録計やパラシュートを含まないこともある。片道で語られることもある。その数字は嘘とは限らない。前提の名前が抜けているだけである。前提が違えば、同じ機体でも計画に使ってよい質量は変わる。メーカーの一文を、運航の許可や飛行規程の代わりにしない。数字の隣に、何を含め何を省いたかを置け。
実用の積載は、その公称から引き算した残りだ。風、とくに帰りの向かい風。予備として触ってはいけないエネルギー。容量は落ち、内部抵抗は増える。電池はそのように劣化している。低温は出せる容量と電力を減らし、高温は損傷を避けるために電流を制限する。高度が上がると空気が薄く、推力も冷却も落ちる。重心と、箱と、記録計。センサのように貨物ではないが質量を食うもの。手順は単純で、公称から始め、各項目を引き、残りだけを計画に使う。予備から「少し」戻してはいけない。戻した時点で、予備は荷物に化けている。
片道では終わらない
片道のエネルギーが正しいのは、向こうに第二の巣があるか、回収の車があるか、機体を使い捨てるときだけだ。それらは別の運航で、費用を別に置け。通常の出撃は、出発、上昇、巡航、進入、引き渡しの待機、帰り、進入、予備、モデルの誤差だ。荷物を下ろせば帰りは軽くなる。その非対称が使えるのは、引き渡しが成功したときだけである。多くの網の設計ケースは、失敗して重いまま、より悪い風の中を帰ることだ。成功した日の平均で電池を決めると、失敗した日に機体が足りなくなる。
行きの追い風は帰りに向かい風になりやすいんだから、風を一つの親切な数に平均するな。拘束になるのは、遅れたあとの帰りであることが多い。待機は距離にならない分のエネルギーだ。前の章のとおり、ホバリングに近い待ちは航続を直接食う。エネルギーを足し終える前に、成功して軽く帰る場合と、失敗して重く帰る場合を両方書け。小さいほうを計画に使うのは、希望であって見積もりではない。
予備は荷物ではない
予備を残すのは、悲観ではない。復行と進入のやり直し。予報より強い風。他機や人のための待機。弱いセル。代替の巣へのダイバート。直線を拒否されて長くなる経路。受信が遅れた人を待つロイタ。これらは異常ではなく、現場が普通に出す事象だ。空きに近いエネルギーで降りるのは、遅刻を機体の損失と地上の危険へ変える。有人機が燃料の予備を規則にするのは、計画が空そのものではないからだ。無人機は同じ考えを、帰還のしきい値として持つことが多い。そのしきい値を積載に使うのは、計画なしで飛ぶ管理の選択である。
この章は、法的な予備の分数を定めない。その数は、運航者の承認と飛行規程の側にある。ここで言うのは、余裕がなぜ存在し、なぜ荷物ではないかだ。余裕を削って公称に近づけると、紙の上の便数は増える。増えたのは、風と待ちと劣化がゼロの日だけ成立する便だ。私は、その便を計画と呼ばない。予備がきわめて小さい見積もりは、見積もりではなく宣伝だから、そのままスケジュールへ入れるな。入れる前に、何を予備から払ったかを一文で書け。
- NASA Glenn — Four forces on an airplane
重量は飛び続けるあいだ揚力で打ち消し続ける、という力の整理である。積載を足すことは、その打ち消しを重くすることだ。
- Murray and Chu, 2015 — flying sidekick TSP
トラックとドローンの配送を、航続の制限つきで最適化する問題として置いた論文である。この章は書誌レベルの参照で、式の再導出はしない。航続が便の硬い上限になる、という点だけを借りる。
- PX4 — Multicopter controller diagrams
推力の指令には配分の飽和がある、と図が示している。余裕を全部ホバリングに使うと、補正の指令は頭打ちになる。調律マニュアルとして読むな。