消える労働と、残る労働

人件費は、ハンドルを握った分数に時給を掛けただけでは終わらない。配車と問い合わせと、例外を処理する人が、同じ請求書に乗る。ドローンが消すのは、そのうちの一部の時間である。積み込みと保守と監督と、事故のあとの仕事は残る。残るものを先に列挙してから、消えるものを引け。

拘束は、運転席の外でも進む

厚生労働省のポータルは、二〇二四年四月から、トラック運転者にも年間の時間外労働の上限九百六十時間が適用され、拘束時間と休息を定めた改善基準告示の改正も同時に始まった、と説明している。拘束は、ハンドルを握っている時間だけではない。休憩と待機を含んだ、仕事に縛られている時間である。年間の拘束は、それまで三千五百十六時間以内だったものが、原則三千三百時間以内、例外でも三千四百時間以内へ移った、と同ページは示している。細目の休息は、そのページの表を見なさい。ここでの要点は、運転の分数を削っても、待機が残れば拘束は残る、ということだ。

運転者の周りには、配車係と、問い合わせに答える人と、例外を片づける人がいる。静かな一時間にも、シフトの人は職場におる。この管理の費用は、曖昧な間接費という言葉で済ませるものではない。希少な時間を、どの停車に割り当てるかを決める労働だから、荷物が少ない日にもゼロにはならない。時給の仮定を置くなら、運転と配車と問い合わせを別行にせよ。一つの「人件費」に平均した瞬間、どの規制がどの行を締めているかが見えなくなる。

荷主の側の待ち時間も、運転者の拘束に流れ込む。積む場所で待たされる一時間は、飛んでいないドローンの電力とは違い、人の一日を消費する。改善基準が休息を厚くするのは、その一日に上限があるからである。上限は道徳のスローガンではなく、一台の人がその月に提供できる停車の数の上限である。ドローンの計画が、この上限を緩めると言うなら、緩むのは路上の拘束であって、職場にいる人の全部ではない、と先に書け。

二〇二四年の上限は、能力の文章である

国土交通白書二〇二四のコラムは、対策を講じなければ、二〇二四年度には輸送力が約十四パーセント、二〇三〇年度には約三十四パーセント不足すると見込まれる、と書いている。これは「何もしなければ」の情景であり、その後に観測された結果そのものではない。パーセントを、すでに起きた欠乏のように引用すると、白書が置いた条件を落とすことになる。条件を残したまま読め。対策は、その情景を変えるために置かれた。

その後の国土交通省の資料は、当初想定された二〇三〇年度の約三十四パーセントの需給ギャップのうち、約十四パーセント分は、二〇二四年問題への官民の取組などでおおむね克服でき、輸送需要も約十二パーセント減った、と整理している。同じ資料は、さらに手を打たなければ、二〇三〇年度には平均で約七パーセント、供給がより不足するケースでは最大約二十五パーセント、トン数では一・七億トンから七・二億トンの不足が生じうる、と置く。これは改訂された見通しの幅であり、私はの予測ではない。幅のまま扱え。

教訓は、時間の規制が、与えられた人数でこなせる停車の数を変える、ということである。新しい乗り物を自動的に発明はしない。運転手不足をドローンが解く、という話は、どの時間を消し、どの時間を足すかを言って、初めて費用の話になる。最初の十四パーセントや三十四パーセントを、更新された資料のあとも唯一の数字として残すのは、出典の扱いとして雑である。情景と、その後の改訂を、両方引用してから判断しているかどうかが、この章の確認事項である。

ドローンが残す仕事を、先に列挙する

消える時間は、機体が実際に完了した配達について、巡航と、停車のあいだの運転に人が乗っていた時間である。その切片に限れば、路上の拘束は緩みうる。残る時間は、ネストでの積み込み、電池の交換、飛行前の点検、宛先が曖昧なときの客とのやり取り、整備、監督、事故のあとの対応である。国土交通省のレベル4は、一等の技能証明と第一種の機体認証と、運航のルールを残している。無人は、資格のある人が消えるという意味ではない。

米国のパート107は、別の線の引き方だが、同じ方向を向いている。有償で物を運ぶ小型機でも、視界の内に置くことが原則であり、その監視は人の仕事のままである。目視外へ出るのは、その許可の外である。どちらの国の文章も、遠隔の操縦や監視をゼロ円にしていない。複数機を一人が見る、という設計は可能でも、その一人は賃金の行に残る。見られる機の数は、設計の変数であり、天候と住所と機体が同時に壊れ始めると、その変数は崩れる。

労働の構成は、路上の時間から、例外の一件あたりの時間と、飛行時間あたりの整備へ移る。便数が多く、成功率が中くらいなら、例外処理が賃金の主になりうる。仮定として、遠隔の監督が時給二千五百円で、同時に四機を見て、一機が一時間に四便完了するなら、監督は便あたり約百五十六円になる。二千五百を、四掛ける四で割っただけである。実勢の賃金ではない。成功率が一機だけ落ちて、その人がその機に張り付くと、この百五十六円はすぐに崩れる。崩れる様子を先に書いてから、人件費が消えたと言いなさい。