失敗が、成功の単価を押し上げる

失敗は、道徳の減点ではない。不在も、誤配も、欠航も、破損も、苦情も、成功一件の費用を押し上げる出来事である。押し上げ方は、成功率で割る、と言えば足りる。同じ日に揃う失敗は、ばらばらの失敗より高い。測った率と、割っただけの説明を、混ぜるな。

不在は、もう一本の便を生む

不在は、荷物が着いて、受け取る人がいない状態であり、二度目の移動が生まれる。国土交通省の説明ページは、サンプル調査として、令和六年四月期に約十・四パーセント、同年十月期に約十・二パーセントが再配達だった、と置いている。約一割の再配達を労働に換算すると年間約六万人分、という整理と、再配達トラックの二酸化炭素が年間約二十五・四万トンという令和二年度の同省試算も、そのページにある。二〇二二年の同省調査では、再配達の理由の約二割が、配達されると知らなかった、だった。これらは日付つきの記述として読め。

率は動いた。令和八年七月十日の同省の発表は、大手事業者の令和八年四月のサンプルで再配達率が約七・六パーセント、令和七年十月のサンプルより〇・七ポイント低い、としている。系列が動いている以上、古い率を「いまの率」と固定してはならない。六万人の換算を、七・六パーセントに自分で掛け直して、公式の新しい人数のように言うのも、同じく雑である。換算は、約一割を前提にしたページの文章のまま残せ。新しい率は、新しい率として併記している、というのが正確な読み方である。

ほかの失敗も、同じ列に置け。誤配は、取り戻しと、正しい二度目と、苦情を生む。破損は、詰め直しと、再送と、場合によっては結果損害を生む。保険は、その型に値段をつける。問い合わせは、箱を動かす人とは別の、信頼を直す人の時間を食う。航空機では、飛べない日は安い休止ではない。拠点とシフトは払われたままである。バンの不在が「もう一本」を生むように、欠航は、その日の成功の分母をまとめて削る。削り方は次の節で、率の話として分ける。

成功率で割ると、試みの費用が膨らむ

試み一回の費用を c、試みが成功する確率を p とする。失敗をやり直し、試しが互いに独立なら、完了一件あたりの期待試み回数は 1 割る p になる。成功あたりの試み費用は c 割る p である。これは定義に近い算術であり、市場の計測ではない。説明のための算術として、p が〇・九五なら試みは約一・〇五回、p が〇・七〇なら約一・四三回になる。試み費用は約三十六パーセント増える。これは一・四三を一・〇五で割り、一を引いた値を百分率にしただけであり、クレームと返金と、去る客より前の話である。

やり直さない、という選択もある。二度目の出撃は節約でき、返金と失った売上を食べる。最小は「必ずやり直せ」ではない。やり直しの費用と、諦めた費用の、小さいほうである。諦めた費用には、一枚の請求書に出ない評判が含まれる。評判をゼロと置く仮定は、仮定だと書け。書かずにゼロにするのは、隠匿である。客が一度の失敗で去る事業と、翌週も使う事業では、同じ p でも、諦める費用が違う。

この算術が示す設計は、巡航速度を上げる前に、p を上げるほうが安いことがある、ということだ。受け取りの確認、実在する着陸地点、飛び立ってから中止するのではなく早く中止する天候の門。これらは速度より地味で、1 割る p を直接小さくする。速度が p を下げるなら、成功あたりの費用は上がりうる。速い失敗は、遅い成功より高くつきうる。ここはスローガンではなく、割り算の向きだから、自分の c と p を仮定で置いてから判断しているかを見よ。

同じ日に揃って失敗すると、固定費が座礁する

一つの悪い住所、一機の故障のような独立した失敗は、機体をまたげば一部はならせる。揃って起きる失敗は、ならせない。風の午後、閉じた空域、暗い拠点は、多くの出撃を同時に止める。固定費は座礁する。次に飛べる窓は、滞留した荷物を相続し、残業と延着の違約と、待っていた受け手がもういないことによる二度目の不在を呼ぶ。独立と相関を、同じ「失敗率」の一言に潰すと、備えの置き場を間違える。

再配達のサンプルは、地上の不在の絵である。一軒の不在は独立に近く、同じ時刻に空になる通勤の街区は相関に近い。航空機は、バンがまだ這える天候でも巣ごと止まる、という相関を足す。バンの完了率を、何が巣の全部を止めるかを問わずに、航空機の計画へ輸入してはならない。輸入してよいのは、不在が二度目を生むという構造であって、パーセントそのものではない。

二〇一八年の Nature Communications は、モデル化した小型マルチコプターの航続が短く、外した配達が長い巡回の小さな寄り道にはなりにくい、と思い出させる。多くの場合、出撃丸ごとである。それを 1 割る p と重ねると、失敗した一投は、買ったつもりだった巡航に対して高い。サンプル調査の七・六パーセントや十パーセントを、この p にそのまま入れるのも雑である。あれはバンの再配達率であり、あなたの機体の成功率ではない。p は仮定として別に置け。置いたあとで、相関の日に分母が同時に死ぬかを見なさい。